主食の選び方 ~おかゆが離水するとき~

今回は、主食の選び方についてお話しします。

G様のこと

その主役を、仮にG様としましょう。

G様は、脳梗塞の後遺症で車いすを使用しています。

自分の体に合わせて選んだもので、ベッドから出ると、常にその車椅子で生活しています。

一般的には、食事の際には椅子に移り、足を床に付けて食べる方が安定しています。

しかし、G様は体の拘縮があり、普通の椅子に座ることができません。

ご自身の車いすのまま、オーバーテーブルを使用して食事を取っています。

そして、全身の状態が低下してきて、嚥下(飲み込み)しづらくなってきました。

主食のおかゆが食べづらくなってきたのです。

人が、食べ物(今回はおかゆ)を飲み込むときには

1、おかゆをスプーンですくって口へと運ぶ

2、口の中で咀嚼(噛んで)して舌をつくってかたまりを作り、

3、舌でのどの奥に送り込み、ごっくんと飲み込む。

ごくごく簡単に飲み込みを説明すると、1~3の手順があります。

この②に時間がかかるようになり、口の中に長い時間おかゆが溜まるようになりました。

「口の中におかゆが溜まる」ということは、「唾液がたっぷりあるところに、でんぷんが長時間ある」ということです。

シャバシャバおかゆ~の回で説明したように、口の中ででんぷん分解酵素が働き、おかゆが離水することを意味します。

嚥下が困難な人の口の中に、サラッとした水分が出てきます。

口の中での反応なため、防ぐことはできません。

その結果、G様は、どうなるか。

むせます。

口から、水分がダラダラ流れます。

口の中での離水を防ぐにはどうしたらよいか。

1市販のでんぷん分解酵素を使用して、まずおかゆをサラサラにします。(でんぷんの分解)

2市販のとろみ材を使って、サラサラおかゆをドロドロに戻します。

これで、離水せず「安全な」おかゆはできました。

でもね、これは美味しくないんです。

そして、コストもかかります。

私たちがとった方法は…

まず、G様の状態を確認します

便の具合を確認し、咀嚼の程度を見極めます。

・便はいい便が出ていました。

・咀嚼も、ある程度できていました。

・おやつなら、手で持ってしっかり食べられています。

結果、ごはんが食べられるかもしれない!

ごはんはおかゆより水分が少ないため、離水する危険性がないんです。

ただ、咀嚼ができないと、のど詰めの危険性があるため、見極めと見守りが大切です。

腕にも拘縮があるため、おにぎりにして手渡してみました。

「食べられた!」

しっかりと咀嚼し、離水することなく飲み込めました。

離水することもないため、むせることもなく、口からの水分も出てきませんでした。

私たちは喜び、しばらくおにぎりを続けました。

だんだん拒否されるようになりました。

硬かったのか、飲み込みにくかったのか、味や食感が嫌だったのか、理由はわかりませんでした。

最初に食べてくださった日は、あたたかいごはんを目の前でひとつづつおにぎりにして手渡したため「食べたい」と思ってくださったのでしょうが、その結果で「おにぎりは食べられる」と思った私たちは浅はかでした。「目の前で、自分のためだけに特別に握ってくれたおにぎりは美味しそうだから食べたい!」と思われたようでした。

食べる量も減ってきたため、おかゆに戻すことも考えましたが…

今度は「パンがゆ」を試してみました。

するとどうでしょう。

よく食べられます。

柔らかさと甘さで、食が進むようです。

パンがふやけているパンがゆは、おかゆほど離水もしませんし、口の中で出てきた水分も甘いため「美味しい!」ときれいに飲み込めています。

和食のおかずと合わない日もありますが、「パンがゆ」と「おかず」、分けて介助すれば違和感なく食べられているようです。

結果、G様には「パンがゆ」が合っていました。

現在も、問題なくパンがゆを召し上がっています。

G様を通して感じたこと

ただし、状態は常に変化しています。

今日、食べたいものでも、明日は嫌かもしれません。

一度決定したことでも、柔軟に変化できる環境と情報交換が大切だと感じています。


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