自力摂取したくなる食事介助

手を出さない介助、手伝わない介助、ってイメージできますか?

個人的には、応援する介助だとも思っています。

春子さんの場合

春子さんのこと

春子さんは、右半身麻痺がありますが、車椅子に座って左手で食事をすることができます。もともと右利きだったため、そんなに上手には食べられず、こぼしてしまうこともあります。

食べやすいように、滑り止めトレーと自助食器を使っています。

高齢になるにつれ、今までより食べるのに時間がかかるようになっています。

また、お尻にただれがあって、褥瘡にならないようにケアしています。

言語障害もあり、想いを言葉にすることは困難ですが、介助者の話す簡単なことなら理解できます。

春子さんの周りには…

春子さんの周りには、自分で食べられず介助の必要な方が座っています。

重度の認知症で食事を食事として認識出来なくなった方、ミキサー食を『ごっくん』することはできるけどスプーンを使えない方、食に対する意欲が低下し自力摂取できない方など、それぞれ理由は様々ですが全介助が必要な方ばかりです。

食事のときは、春子さんの周りの方に介助者がつき、食事介助を行います。

春子さんは、食べやすい食器の位置などを整えた後は、1人で召し上がります。

いつもの春子さん

初めのうちはお腹も空いているし、春子さんは順調に食べ進めることができますが、半分くらいになると手が止まり疲れた顔を見せます。

すると周りにいる介助者は『春子さん、手がとまってますよ。頑張って食べてください』と声をかけます。

春子さん、少し頑張って、また手が止まります。

その繰り返しの後、完全に手が止まり最終的には介助することになります。

では、ここで春子さんの想いを妄想して見ましょう。

お腹空いたな。ごはん食べよ。

美味しいなぁ。あ、こぼれた。

半分くらい食べたな〜。お腹すいたのおさまってきたな。

『春子さん、手がとまってますよ』って聞こえるけど、周りのみんなはごはん食べさせてもらってるなぁ。いいなぁ、私も、手が動きにくいし、こぼれてるのに誰も手伝ってくれないなぁ。

私だけ一人ぼっちにされてるのかな?

そろそろお尻も痛くなってきたし、早く寝たいなぁ。

ごはん、もういいや。

と、こんな感じではないでしょうか?

手を出さない介助をすると…

ところが最初から隣に座り、話しかけながら食事をしていただくと、最後までニコニコして食べることができます。

介助は、ほとんどしません。

トレーにこぼれた食事を食器へ戻したり、お皿の中で散らばった食べ物を集めるくらいです。

もう一度、妄想してみましょう。

お腹空いたな。ごはん食べよ。

隣にいる人、なんのおかずか教えてくれてるな。へぇ〜、これ、タケノコなのね〜。(もぐもぐ)

暖かくなったら散歩に行こうだって。いいなぁ(もぐもぐ)

食べてお尻のただれ治そうやって、そうか食べたら治るのか(もぐもぐ)

なになに?ここにおかずが残ってるって?じゃあ食べようかな?(もぐもぐ)(もぐもぐ)

あれ?話し聞きながら食べてたら終わってるわ。あー、お腹いっぱい。

手を出さない介助のいいところ

合間に笑い声も入りますし、食べる手が止まることはありません。

応援して、あなたは一人ぼっちじゃないですよ、と伝えることができれば、楽しく自分で食事がとれます。

自力摂取できれば、自分のペースで食べられるので、むせたり詰まったりするリスクも低くなりますし、残存機能を維持するリハビリにもなり、いいことだらけです。

つきっきりでなくても構いません。

重度の方の介助をしながら、春子さんのような方に『あなたは一人ぼっちじゃないですよ』と感じてもらえるよう、関わってみてください。

忙しいかもしれませんが、後で介助する人が1人減るので、意外と介助者も楽になりますよ。


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