春なので、利用者様と一緒に桜もちを作りました。
私の勤める特別養護老人ホームの利用者様には、様々な状態の方がいらっしゃいます。
認知症の方、体にマヒのある方、背中の曲がった方、体力の落ちた方など、自宅での生活が何らかの理由で難しくなった方々です。
そんな、いろんな方々と、おやつの桜もちを作りました。
レクリエーションの一環です。
安全であること
一番大切なことです。
飲み込にくくなっている方も多くおられます。
桜もちの「もち」の部分。しっかりもちもちしていると、のどに詰めてしまう方もおられます。
スタッフも、慣れないおやつ作りに集中しがちで、目が行き届きにくくなります。
誰が食べても、のど詰めの危険性が低い状態の「もち」を用意する必要があります。
今回は、「やわらかめのごはん」をピンクに色付けし、砂糖を混ぜ込みました。
ごはんは冷めると硬くなるため、作る時間に合わせて炊き上げ、あたたかい状態で使用します。
簡単であること
認知症であったり、体にマヒがあると、複雑な工程をこなすことが難しくなります。
多くの利用者様に一度に作っていただくことになるため、簡単な工程でないと収拾がつかなくなるというのも正直なところです。
1.お皿の上にラップを敷き、ごはんを置き、ラップで挟みます。
2.上から手でごはんをつぶしながら平たくします。
3.上のラップを外し、あんこを乗せ、もちで包みます。
4.出来上がった桜もちを、塩抜きした桜の葉で包みます。
~ちょっとくらいあんこがはみ出ても、包んでしまえばきれいな仕上がりです!~
こんなに簡単なのに、パッと見はお店で売ってるものと遜色ないものが出来上がりました。
簡単だけど、見た目がつまらないものができると、作っていても楽しくないし、テンションも下がります。
簡単でキレイに、美味しそうにできるとワクワクして、その場も盛り上がります。
美味しいこと
簡単にできるからと言って、美味しくなかったら、楽しくなくなってしまいます。
美味しくするため、桜の葉の塩漬けは、和菓子店から購入します。
月に1回生菓子を配達してくれる近所の和菓子屋さんにお願いして、分けていただきます。
その他の物は、スーパーで購入しますが、桜の葉がいい香りなので、すべてがワンランク上の仕上がりになります。
出来上がったら、お茶を入れて、笑顔いっぱいでほおばります。
自分で作った売り物のようにきれいにできた、出来立てのまだあったかい桜もちを、嬉しそうに召し上がられます。
「美味しいね」「きれいにできたね」「お店の売り物より上手や」など、満足そうな声が聞こえてきます。
普段、食事を作ることなく、出来上がったものを食べるだけ、といった生活をされていると、
食べ物を作って食べる、といったことに懐かしさと喜びを感じておられるように思います。