私の勤めている特別養護老人ホームには、デイサービスがあり、その利用者様の栄養ケアを担当することがあります。
その時に、他の事業所のケアマネジャーさんとも関わります。
今回のお話は、そんな繋がりで仲良くなったケアマネジャーさんからの相談です。
相談内容
私の勤めている施設を使っていない男性(G様とします)なので、全く面識はありません。確か80代の方でした。
G様は食欲不振で、病院にかかっています。そして病院からは、プリン状の栄養剤ににフルーツソースをかけるタイプのものが出されました。
でも、その栄養剤を食べてくださいません。意思の疎通も難しい様子でした。家族様も介助をしますが、なかなか食が進まず、とうとう病院から「このまま食べられない状態が続くと、胃ろうにするしかない」と言われてしまいました。
胃ろうは、作りたくないので、なんとか食べられるようになりませんか?と電話をもらいました。
なんとかできるものなら、なんとかしてあげたいですよね。
問題はどこ?
まず、G様に食欲不振になる原因の疾患があるかどうか、食べてはいけないものがあるかどうか、を確認しました。
幸い、G様には、どちらもありませんでした。
つまり、病院の栄養剤が好きじゃなくて、食べたくないのかな?と推理してみました。
でも家族様は、病院の栄養剤は薬だから!と栄養剤を食べてもらうことだけを考えて、一所懸命になっていました。
対策として
そこで、まず家族様に、食べられるものを食べましょう。好きなものを食べましょう。栄養剤にこだわらなくていいですよ。と伝えました。
そもそもミルクベースのプリンにフルーツソースをかける、って男性高齢者に馴染みがありますか?
甘い物が好きな方なら喜んで食べてくださいますが、嫌な人も多いものです。
ただ、甘辛いみたらし団子のたれをかけると意外と食べられます。
砂糖と醤油を煮詰めて片栗粉でとろみをつけるだけです。
その上で、栄養剤の代わりになるもの、普通のプリン、冷奴(豆腐)、胡麻豆腐、バナナ、水ようかん、ヨーグルト、茶碗蒸し(玉子豆腐)、お粥など嚥下(飲み込み)が悪くても食べやすいものを紹介します。
そしていくつか試してみて、よく食べられるものを積極的に取り入れてもらいました。
その結果…
徐々に食べられるようになり、元気になってデイサービスに通えるようになりました。
普通食を食べられていて、おまけにお隣の席の方の食事にまで手が伸びるほど、食欲もりもりだそうです(笑)
家族様にも喜んで頂いて、栄養士として涙が出そうになるほど嬉しかったです。
高齢者の食べたくない思いと、家族様やケアマネジャーさんのなんとか食べて欲しい思いの接点を推理して、結びつけることも、栄養士にできる仕事の一つではないかな?と思っています。