貧血に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。
⑴ 鉄欠乏性貧血では、出血傾向がみられる。
⑵ 悪性貧血では、内因子の作用が増強している。
⑶ 再生不良性貧血では、白血球数が増加する。
⑷ 溶血性貧血では、黄疸がみられる。
⑸ 腎性貧血では、血中エリスロポエチン値が上昇する。
解答
⑴ × 鉄欠乏性貧血では、出血傾向がみられる。
鉄欠乏性貧血では、出血傾向はみられない。鉄欠乏性貧血は、鉄の不足により赤血球の産生が障害される病態である。出血傾向は、血小板減少症や凝固因子欠乏症などでみられる。
⑵ × 悪性貧血では、内因子の作用が増強している。
悪性貧血では、内因子の作用が減弱している。悪性貧血は、内因子の欠乏または機能異常により、ビタミンB12の吸収が障害される病態である。内因子は、胃壁細胞から分泌され、ビタミンB12と結合し、回腸での吸収を促進する。内因子の作用が減弱すると、ビタミンB12の吸収障害が生じる。
⑶ × 再生不良性貧血では、白血球数が増加する。
再生不良性貧血では、汎血球減少(貧血、白血球減少、血小板減少)がみられる。再生不良性貧血は、造血幹細胞の障害により、赤血球、白血球、血小板のすべての系統の産生が低下する病態である。骨髄は低形成となり、未梢血では汎血球減少を呈する。
⑷ 〇 溶血性貧血では、黄疸がみられる。
溶血性貧血では、赤血球の破壊が亢進するため、血中のビリルビンが増加し、黄疸がみられる。溶血により生じた間接ビリルビンは、肝臓で直接ビリルビン(水溶性)に変換され、胆汁中に排泄される。溶血が亢進した状態では、間接ビリルビンの産生が肝臓での処理能力を超えるため、血中ビリルビン値が上昇し、黄疸が生じる。
⑸ × 腎性貧血では、血中エリスロポエチン値が上昇する。
腎性貧血では、血中エリスロポエチン値が低下する。腎性貧血は、慢性腎臓病に伴う貧血であり、エリスロポエチンの産生低下が主な原因である。エリスロポエチンは、主に腎臓で産生され、赤血球の産生を刺激するホルモンである。腎機能の低下に伴い、エリスロポエチンの産生が減少し、貧血が生じる。