血液疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。
⑴ 喫煙者では、ヘモグロビン濃度が低下する。
⑵ 血友病では、プロトロンビン時間が短縮する。
⑶ 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)には、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与する。
⑷ 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリン分解産物(FDP)が減少する。
⑸ 急性白血病では、赤血球数が増加する。
解答
⑴ × 喫煙者では、ヘモグロビン濃度が低下する。
喫煙者では、ヘモグロビン濃度が上昇する傾向がある。喫煙によって、一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)が増加し、ヘモグロビンの酸素運搬能が低下する。これを代償するために、赤血球産生が亢進し、ヘモグロビン濃度が上昇する。
⑵ × 血友病では、プロトロンビン時間が短縮する。
血友病では、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が延長する。血友病は、凝固因子VIII(血友病A)または凝固因子IX(血友病B)の欠乏または機能異常による先天性出血性疾患である。APTTは、内因系凝固経路を評価する検査であり、血友病では延長する。プロトロンビン時間は、外因系凝固経路を評価する検査であり、血友病では正常である。
⑶ 〇 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)には、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与する。
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の一部の症例では、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与していることが知られている。ヘリコバクター・ピロリ菌感染によって、免疫系が刺激され、血小板に対する自己抗体の産生が誘導されると考えられている。除菌療法により、ITPsの改善が得られた症例も報告されている。
⑷ × 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリン分解産物(FDP)が減少する。
播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリン分解産物(FDP)が増加する。DICは、全身の微小血管内で凝固亢進と線溶亢進が同時に生じる病態である。凝固亢進により、フィブリンが過剰に産生され、微小血管内に沈着する。線溶亢進により、フィブリンが分解され、FDPが増加する。
⑸ × 急性白血病では、赤血球数が増加する。
急性白血病では、貧血(赤血球数減少)がみられる。急性白血病は、骨髄中の白血病細胞が増殖し、正常な造血を抑制する疾患である。白血病細胞が骨髄を占拠することにより、赤血球系、白血球系、巨核球系のすべての系統の産生が障害され、汎血球減少を呈する。