MENU

38-6

研究デザインによるエビデンスレベルの比較に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。

⑴  コホート研究は、ランダム化比較試験のメタアナリシスより高い。

⑵  横断研究は、ランダム化比較試験より高い。

⑶  ランダム化比較試験は、症例対照研究より高い。

⑷  生態学的研究は、コホート研究より高い。

⑸  症例報告は、症例対照研究より高い。

解答

正解:3

研究デザインによるエビデンスレベルの比較については、一般的に以下のような序列が認められている。

  1. レビュー:メタアナリシス、システマティックレビュー
  2. 介入研究:ランダム化比較試験(RCT)
  3. 介入研究:非ランダム化試験
  4. 観察研究:コホート研究
  5. 観察研究:症例対照研究
  6. 観察研究:横断研究
  7. 観察研究:症例報告
  8. 専門家の意見
  9. 生物学的研究

解説

エビデンスヒエラルキー(ピラミッド)に関して

エビデンスのヒエラルキー(エビデンス・ピラミッド)は、医療や科学研究において、さまざまな種類の研究やエビデンス(証拠)の信頼性や妥当性を評価するための枠組みを視覚的に表現する「わかりやすいモデル」である。しかし、この「エビデンスレベルが高い」とされる研究方法を適用するだけでは、自動的に質の高い結果やエビデンスが得られるわけではない。

不適切に設計されたランダム化比較試験(RCT)は、注意深く設計された観察研究よりもエビデンスの信頼性が高いとは限らない。また、エビデンスの適用は、研究が行われた状況や臨床的文脈に大きく依存する。さらに、クリニカルクエスチョンによっては、介入研究が困難な場合もある(特に栄養に関する研究では顕著である)。

近年、観察研究から因果推論を行うための手法も発展してきており、従来のエビデンスヒエラルキーにおける研究デザイン間の境界は曖昧になりつつある。これらの進歩により、研究の質や適用可能性をより総合的に評価する必要性が高まっている。

エビデンスヒエラルキーは「わかりやすさ」ゆえに、その概念を表層的に理解してしまう弊害が認識されつつある。医療や研究の専門家は、このモデルを安易に適用することを避け、個々の研究の質、方法論的厳密さ、および臨床的関連性を慎重に評価する必要がある。

  • URLをコピーしました!
目次