わが国の労働者のメンタルヘルス対策に関する記述である。誤っているのはどれか。 1 つ選べ。
⑴ 労働安全衛生法では、事業者は、 1 か月間の時間外労働が 80 時間を超えた労働者に対して、その情報を通知しなければならない。
⑵ ラインケアとは、管理監督者が労働者のメンタル不調の早期発見等に努めることである。
⑶ 各都道府県の産業保健総合支援センターは、メンタルヘルスに関する相談事業を行っている。
⑷ 対策の基本として、労働者が自身のストレスに気づくことが重視されている。
⑸ 全ての事業所において、労働者のストレスチェックを定期的に行わなければならない。
解答
⑴ 〇 労働安全衛生法では、事業者は、 1 か月間の時間外労働が 80 時間を超えた労働者に対して、その情報を通知しなければならない。
労働安全衛生法第66条の8の3により、事業者は、1か月間の時間外・休日労働時間が80時間を超えた労働者に対し、労働時間の情報を通知し、医師による面接指導を受ける機会を与えなければならないとされている。
⑵ 〇 ラインケアとは、管理監督者が労働者のメンタル不調の早期発見等に努めることである。
ラインケアとは、管理監督者が日常的に部下の様子を把握し、メンタル不調の早期発見や相談対応を行うことを指す。メンタルヘルス対策における重要な取り組みの一つである。
⑶ 〇 各都道府県の産業保健総合支援センターは、メンタルヘルスに関する相談事業を行っている。
都道府県の産業保健総合支援センターでは、メンタルヘルスを含む労働者の健康管理に関する相談事業を実施している。事業者や労働者は、専門家からの助言を受けることができる。
⑷ 〇 対策の基本として、労働者が自身のストレスに気づくことが重視されている。
メンタルヘルス対策では、労働者自身がストレスに気づき、自己管理を行うことが重要とされている。これをセルフケアと呼び、ストレスチェックや教育研修などを通じて促進される。
⑸ × 全ての事業所において、労働者のストレスチェックを定期的に行わなければならない。
ストレスチェックの実施義務は、常時使用する労働者が50人以上の事業場に限られる。50人未満の事業場では、努力義務とされている。
労働安全衛生法第66条の8では「長時間労働者への医師による面接指導制度」が義務づけられている。
2019年4月に改正され、改正前は「時間外・休日労働時間が月100時間超」の労働者が面接指導の対象であったが、改正以降は「月80時間超」に対象が拡大された。
実施要件を満たしているが申出のない労働者、実施要件を満たしていなくても健康への配慮が必要な労働者に対し、事業者は面接指導を行えるよう努める必要がある。ただし強制ではなく、実施要件を満たしている労働者であっても、労働者の申出があった場合のみ面接指導を行う。