循環器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。
⑴ 僧帽弁は、 2 枚の弁尖からなる。
⑵ 3 本の冠状動脈が、大動脈から分枝する。
⑶ 心電図の P 波は、心室の興奮を示す。
⑷ 安静時の心拍出量は、成人で約 20 L/分である。
⑸ ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)は、血管を収縮させる。
解答
⑴ 〇 僧帽弁は、2枚の弁尖からなる。
僧帽弁は、左心房と左心室の間に位置する房室弁であり、2枚の弁尖(前尖と後尖)からなる。その他の弁は基本的には3枚の弁尖から成り立つ。
⑵ × 3本の冠状動脈が、大動脈から分枝する。
冠状動脈は、通常2本(左冠状動脈と右冠状動脈)が大動脈から分枝する。左冠状動脈は、左前下行枝と左回旋枝に分かれる。
⑶ × 心電図のP波は、心室の興奮を示す。
心電図のP波は、心房の脱分極(興奮)を示す。心室の脱分極は、QRS複合体として記録される。P波は、洞結節から発生した興奮が心房全体に広がる過程を反映している。
⑷ × 安静時の心拍出量は、成人で約20L/分である。
安静時の心拍出量は、成人で約5L/分である。心拍出量は、1回拍出量(通常60-80mL)と心拍数(通常60-80回/分)の積で算出される。
⑸ × ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)は、血管を収縮させる。
ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)は、血管を拡張させる作用を持つ。ANPは、心房の伸展刺激により分泌され、ナトリウムと水の排泄を促進し、血圧を低下させる。また、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系を抑制し、血管拡張作用を示す。