ホルモンと内分泌疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。
⑴ 黄体形成ホルモン(LH)は、排卵を抑制する。
⑵ ドーパミンは、プロラクチンの分泌を抑制する。
⑶ 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症がみられる。
⑷ 先端巨大症では、血中成長ホルモン値が低値である。
⑸ クッシング病では、血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)値が低下する。
解答
⑴ × 黄体形成ホルモン(LH)は、排卵を抑制する。
黄体形成ホルモン(LH)は、排卵を誘発する。LHは、下垂体前葉から分泌され、卵胞の最終的な成熟と排卵を促進する。月経周期の中期に、LHのサージ(急激な上昇)が起こり、排卵が引き起こされる。
⑵ 〇 ドーパミンは、プロラクチンの分泌を抑制する。
ドーパミンは、視床下部から分泌される神経伝達物質であり、プロラクチンの分泌を抑制する作用を持つ。ドーパミンは、下垂体前葉の乳汁分泌細胞(ラクトトロフ)に存在するドーパミンD2受容体に作用し、プロラクチンの合成と分泌を抑制する。ドーパミン作動薬は、高プロラクチン血症の治療に用いられる。
⑶ × 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症がみられる。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、低ナトリウム血症がみられる。SIADHでは、抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌が過剰となり、水の再吸収が亢進する。その結果、体内に水が貯留し、血清ナトリウム濃度が低下する。
⑷ × 先端巨大症では、血中成長ホルモン値が低値である。
先端巨大症では、血中成長ホルモン値が高値である。先端巨大症は、成長ホルモンの過剰分泌により引き起こされる疾患であり、主に下垂体腺腫が原因である。成長ホルモンの過剰は、軟部組織の肥大や骨の変形などの特徴的な身体所見を引き起こす。
⑸ × クッシング病では、血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)値が低下する。
クッシング病では、血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)値が上昇する。クッシング病は、下垂体腺腫によるACTHの過剰分泌により引き起こされる疾患である。ACTHの過剰は、副腎皮質からのコルチゾールの過剰産生を促し、特徴的な身体所見(中心性肥満、満月様顔貌、野牛肩など)を引き起こす。