呼吸器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。
⑴ 声帯は、咽頭にある。
⑵ Ⅰ型肺胞細胞は、肺サーファクタントを産生する。
⑶ 動脈血二酸化炭素分圧は、パルスオキシメータで測定する。
⑷ 機能的残気量は、残気量と予備呼気量の和である。
⑸ ヘモグロビンの酸素解離曲線は、pH が上昇すると右方向に移動する。
解答
⑴ × 声帯は、咽頭にある。
声帯は、喉頭にある。喉頭は、気管の上部に位置し、発声に重要な役割を果たす。声帯は、喉頭の中央部に位置する左右一対の粘膜ひだであり、発声時に振動することで音声が生成される。
⑵ × Ⅰ型肺胞細胞は、肺サーファクタントを産生する。
肺サーファクタントを産生するのは、Ⅱ型肺胞細胞である。Ⅱ型肺胞細胞は、肺胞の約5%を占める立方上皮細胞であり、肺サーファクタントを合成、分泌する。肺サーファクタントは、肺胞の表面張力を低下させ、肺胞の虚脱を防ぐ役割を果たす。Ⅰ型肺胞細胞は、肺胞の大部分を占める扁平上皮細胞であり、ガス交換に重要である。
⑶ × 動脈血二酸化炭素分圧は、パルスオキシメータで測定する。
パルスオキシメータは、動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定する装置である。動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)は、動脈血液ガス分析によって測定される。動脈血液ガス分析では、動脈血の酸素分圧(PaO2)、二酸化炭素分圧(PaCO2)、pH、重炭酸イオン濃度などを測定する。
⑷ 〇 機能的残気量は、残気量と予備呼気量の和である。
機能的残気量(FRC)は、通常の呼吸の終末呼気位において肺内に残っている空気の量であり、残気量(RV)と予備呼気量(ERV)の和で表される。残気量は、最大呼出後も肺内に残っている空気の量であり、予備呼気量は、通常の呼気の終末位から最大呼気位までに呼出できる空気の量である。
⑸ × ヘモグロビンの酸素解離曲線は、pHが上昇すると右方向に移動する。
ヘモグロビンの酸素解離曲線は、pHが低下すると右方向に移動する(Bohr効果)。pHの低下は、組織での二酸化炭素分圧の上昇や乳酸の蓄積によって生じる。酸素解離曲線が右方向に移動すると、ヘモグロビンの酸素親和性が低下し、組織への酸素放出が促進される。逆に、pHが上昇すると、酸素解離曲線は左方向に移動し、ヘモグロビンの酸素親和性が上昇する。